スパイダープラス株式会社(以下、同社)は、建設業界向け施工管理SaaS「SPIDERPLUS」を展開する国内有力企業として、2025年度の通期黒字化を視野に入れた事業計画を発表した。同社の2024年度決算では年間売上高40.7億円(前年比+27.5%)、ARR(年間經常収益)45.3億円(同+29%)を記録。2025年度はARR58~59億円(+30%)、営業利益0.1億円の黒字転換を目標とし、市場の注目を集めている。
建設DX市場の拡大と同社の強み
国土交通省の予測によると、国内建設投資額は2035年度までに71.3兆円(2021年度比+14%)に拡大する一方、建設業就業者は2040年までに最大100万人不足する見込みだ。こうした背景から、デジタル技術で施工効率を改善する「建設DX」市場は急成長しており、同社の主力製品「SPIDERPLUS」は図面管理や工程管理など現場監督の業務負荷を最大50%削減する機能を備える。
競合優位性として、①業界大手2,117社(2024年12月末時点)の導入実績、②建設業出身のサポート体制、③BPOや受託開発との組み合わせ提案が挙げられる。特に三菱重工業系の新菱冷熱工業とのデータ連携事例では、施工プロセスの変革による効率化を実現しており、大型案件の獲得につながっている。
2024年度実績と課題
2024年度は既存顧客への浸透策が奏功し、1社あたり契約金額(ARPA)が17.8万円(前年比+12%)、ユーザー単価(ARPU)は4,997円(同+17%)と堅調に伸長。一方で、中小企業向け販売が想定を下回り、目標ARRには届かなかった。また、開発基盤の刷新に伴う減損損失22.9億円(特別損失)が計上され、当期純損失は77.1億円となった。
2025年度戦略:三つの成長ドライバー
同社は2025年度の成長に向け、以下の施策を推進する:
- DX先進企業との共創:BIM(建築情報モデリング)連携などで施工管理の新たな基準を創出。
- 既存顧客の全社導入促進:オプション機能追加やパッケージプラン切り替えを推進。
- 中小企業開拓:全国6拠点と販売パートナー30社超のネットワークを活用。
加えて、プラント業界や東南アジア(ベトナムに子会社設立)への展開も注力分野だ。
市場評価と今後の見通し
アナリストからは「建設業界の人手不足が深刻化する中、SPIDERPLUSの需要は中長期的に持続する」(大和証券)との声が上がる。一方、懸念材料としては①競合他社の参入加速、②開発投資の継続性が挙げられる。同社の自己資本比率は62.8%(2024年度末)と安定しており、今後の株主還方策(配当検討)にも期待がかかる。
結論:スパイダープラスは建設DXのパイオニアとして、市場拡大の追風を捉えられるポジションにある。2025年度の黒字化達成可否が短期的な株価の鍵となるだろう。